「ハレ」のお碗   「ハレ」と「ケ」

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皆様 ごらんのお碗は「ハレ」のお碗です
皆様は「ハレ」や「ケ」をご存じでございましょうか


私が初めて「ハレ」の言葉をお聞き致しましたのは3年位前
お料理校の講師が実習で一言 「これはハレのお料理ですね」


私は「ハレ」とはお目出度い時に装う 晴れ着の晴れくらいにしか考えず
「ハレ」のことは気にもとめないで そのまま忘れてしまいました


最近になりまして「ハレ」に対して「ケ」があり それらの言葉は
単にお料理の狭い範囲のためだけのものではなく
日本人の生きかたの人生観 死にかたの死生観等 精神論をも超えるにつながる
複雑な考えを持つ言葉であることを知ることになりました


お料理教室で無視してしまいました「ハレ」
後に この「ハレ」と「ケ」を正しく知る機会が私になかったわけではございません
去年2012年11月 農林水産省 京都府主催で開催されました京都での日本料理文化博覧会
そこでお料理の案内人たちが幾度となく申された 「これはハレのお料理でございます」


案内人たちは「ハレ」について幾度となく くちびを切り
明らかに「ハレ」につき詳しく語りたいご様子でございました
にもかかわらず 私を含め博覧会場を訪れる人々は
案内人達に更なる語りを促すことなく通り過ぎましたこと今 思いますにとても残念です


「ハレ」のご説明がなされておれば必ず「ケ」にも言及されたと思います
何をお訊ねすべきかさえ理解できなかったこと 今更ながら 後悔しきりです


京での日本料理文化博覧会にご出店の 京の料亭料理の数々
それは日本政府が和食を 和食無形文化遺産としてユネスコへ申請するにあたり
その申請を後押しするキャンペーンの1つでございました
その中に昔


御所や宮殿でのお祝いのお料理全般を司どられた老舗料亭のお料理のご出品がございました
宮廷料理は 有食料理(ゆうそくりょうり)と呼ばれましたようで
有職料理は 御所でのお祝い料理や宮中儀式の時のお料理等でそれらはすべて「ハレ」のお料理


料理人は身を清めての 包丁さばき それも「ハレ」
料理人がまとう衣装や 所作にも厳しい定めがございましたようで それもまた「ハレ」
日本料理文化博覧会でも昔の有職料理そのままの「ハレ」のお料理も出品されました


有職料理の一画にかなり長く立ち止まりました私に
案内人は「ハレ」そして多分「ケ」につきましても何かを伝えたかったのでございましょう
その機会をとらえることは出来ませんでした





過ぎましたことは致し方ございません
本日は狭い範囲になりますけれど
お料理の「ハレ」「ケ」のお話しをさせていただけないでしょうか


その狭い範囲でのお料理の「ハレ」とは
特別の日に 特別の場で 特別にオシャレをして 特別の美味しいものをいただくこと


また お正月や街のお祭り お誕生日 お雛祭り 子供の日 クリスマスの日 等々
それら特別の日には毎日とは違う行いや装い 言葉使いをすること それらも「ハレ」


「ハレ」ばかりのお話しになりましたけれど「ケ」はその反対で
食に絞りましての「ケ」は 毎日いただく普通のお食事のことになるようです


私の場合 お外でいただく食が多く「ハレ」「ケ」の区別はつけがたいように感じます
ただ「ハレ」「ケ」は上で申し上げましたように 食に関してのみの語ではございませんので
両語を直ちに死語としてしまうようなことは 無理かもしれません


お料理の「ハレ」「ケ」は今の食の状況では多くの方が 古いとお考えかもしれません
けれども 日本古来の有職料理を守り続ける方たちがおられる限り
そして懐石がそこから始まり 今に続いておりますことを思いますと
お料理に携わる人は「ハレ」「ケ」は知りおかなければならないことかもしれません





私は つてを求めましてある学者にお会いすることが出来 主に「ケ」のお訊ねを致しました
「ハレ」と「ケ」の差があまりないように思えたからです
学者先生は私のためにかなりの時間をお割きくださりご説明くださいました


伺いましたお話しでは「ケ」の行事とは毎日変わらず繰り返される日常のいとなみ
ただそこには究極の「ケ」がございまして それは日常の営みが途絶えること


この途絶えるにつきましては
現在学者先生間でも「ハレ」「ケ」以外に加える何かがあるのではないかと模索されておられ
いまだに合意がなされていないような難しい問題のようです


それは「ハレ」「ケ」以外に「ケガレ」を加えなければ のお考えのようです
けれども その「ケガレ」は「ハレ」「ケ」があっての「ケガレ」になります
それを考えますと食に関して 私のように「ハレ」「ケ」に差があまりなくても
直ちに「ハレ」「ケ」をお蔵入り語にすることは出来ないと思います


皆様 本日投稿のお話しは私には難しすぎのお話しです
ただ 学者間でもいまだ決められない「ケガレ」は別と致しましても
食を学ぶには「ハレ」「ケ」くらいまでの区別は知りおかなければ と考えまして
書き記しました






上に
皆様ごらんのひと品は
「ハレ」のお碗です

器のお碗も
「ハレ」のために
選ばれたものです

「ハレ」のお料理には
私のコンデジではお見せできない
誇りと品がございます