秋を知る小さなひと口 八寸盛
蛸・南瓜茶巾
次は
牡蠣金糸巻き
三枚目は
秋刀魚焼棒寿司
写真一番下は
栗渋皮煮
敷かれておりますのは揚針薩摩芋
すべて一口でいただける小さなものばかり
ごらんの四品は先付として供された八寸盛の一部です
大きな一つの器の中で秋の七品が美しく盛り付けられています
八寸とは約24僂ら25僂糧寸と呼ばれるサイズのことで
本来は神様や仏様へのお供えものをのせるための献上台であったようです
現在は呼び名こそ八寸でございますけれど
懐石のお料理に使われる器 若しくはそれに盛るお料理を指すようで
旬の海のもの 旬の山のものを取り合わせて供することが決まりごと
大切なことは
右向こうに海のもの 左手前に山のものを盛り 全体の彩にも特別の配慮がされます
ごらんの四品の器は 黒塗りの八寸盆で その黒塗りの八寸盆には
紅葉のモミジや 秋色に染まりました柿の葉 そして緑の葉等があしらわれています
◆写真一番上に使われる蛸と南瓜
両食材とも一番おいしいのは秋
夏収穫の南瓜 採れたてには甘みが少なく徐々に甘みが増してくる秋が旬
蛸は瀬戸内海を中心に10月から2月に多くあがるのでこの時期が旬
甘辛く煮た柔らかい蛸を ほのかに甘い南瓜で一口サイズの茶巾絞り
世界の2/3の蛸を食してしまう日本人の知恵で絞る美しく美味しいひと品です
◆写真二枚目の牡蠣の金糸巻き
牡蠣を代表するのは広島
今年は広島産牡蠣の実の成長が猛暑で遅れ 水揚げ解禁は10月1日にずれ込みました
広島牡蠣はその水温や塩分濃度 またプランクトンの多さで生産量は全国一位
秋の八寸によく選ばれます
◆写真上から三枚目は秋刀魚焼棒寿司
秋刀魚は今が旬のお魚
旬の秋刀魚棒寿司でございますけれど
焼いたものには 秋刀魚の脂の美味しさが際立つといわれます
八寸に選ばれる秋刀魚 美味しいです
◆栗渋皮煮 栗の下に敷かれますのは 揚針薩摩芋
栗も秋を知る食材で 今が旬の渋皮煮に手間ひまをかけます
皆様ご存じでございましょうか
栗をお水に漬けまして浮いてくる栗には虫が入っているとされます
沈んだ栗のみ使いましょう
詳しくは省きますけれど渋皮煮には重層が使われ そしてブランデーも使われます
栗の下にご覧いただけますのは針のように細切りの薩摩芋を揚げたもので
栗を覆う痛いイガイガのトゲからの連想で使われたようです
今回 八寸盛七品すべての投稿はございませんけれど
左手前に盛られるはずの山のものは くわいや揚げ銀杏や 蕪 等々
くわいや銀杏も秋のものでございますね
料理長さんに隠れてお弟子さんが
この八寸に料理長は 朝から張り切っていましたよ とこっそり
手間ひまをかけられたと思います
本日は
秋を知る小さなひと口
神無月の懐石
八寸盛です