面とり

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ご覧いただいておりますのは炊き合わせ
懐石のひと品で お芋蛸南瓜
お麩に三度豆
炊き合わせの食材は定法の奇数です


器はふた付きです
ずっしり重い涼しげなガラスのふた付きです


ふたをとりまして器の中の南瓜に私は釘付けになりました
肉質やわらかく煮崩れしやすい南瓜は 必ずと申せます程 面取りを致します
皆様 ご覧いただけますでしょうか


しきたりに挑戦するように 面取りはされておりません
南瓜の上部に見られる細いみどりの皮を飾りのように残し
料理長お好みの 角を鋭く残す美しい仕上げです


お鍋の中で動かせない南瓜 それらの角を残す煮含め仕上げは料理人とて気が抜けず
最後炊きあがるまで目がとどくところに置かれ 細心の配慮をされるようです
一口の南瓜にどれだけの注意を払われ神経を使われたのでしょう
暫く南瓜の一片を見つめ続けました


炊き合わせは 預け鉢 煮物 進め鉢 強肴鉢 等々
色々な名前で呼ばれます


お店の格や料理長の技を知るのは お碗です
懐石での炊き合わせの存在位置は お碗に次ぐ大切なひと品で
「煮方」と呼ばれる料理長に次ぐ料理人が担当なさるほど気をつかわれるひと品です







お芋はどうでしょう
こちらは面取りがされております


ごらんの面取りは六方の面取りで それは「鼈甲」と呼ばれます
亀の甲羅に似せる六角形です
簡単そうに見えますけれども これがなかなか
最初のころの私は六角を目指し 手直しを繰り返すばかり
お芋は次第に小さくなり使い物にはなりませんでした

六角形以外 八角形もございますけれど六角のほうが八角より手間がかかります
慣れるしかないのかもしれません


懐石での小芋には 六角の面取りがよく行われます
六角の「鼈甲」に致しますと煮崩れせず 美しく仕上げることが出来るからです
コトコトコト と弱火で煮含めます


緑の三度豆は他の食材を生かすため お味付けはあくまで控えめです
お色添えのための緑でございますので
面取りはございません






タコは今が旬で美味しい時季です
皆様がお求めになられるときは 出来れば生で
面取りはなくぶつ切りです





ごらんのひと品は食べ歩きでいただきました炊き合わせでございますけれど
本日はお料理の講師が 以前話された面取りのお話しになりました
些細なことと皆様お思いかもしれませんけれど
食材を美しく変身させるに欠かせないのは 面取りです


料理店での懐石は
料理人たちがそこで働く先輩料理人を見よう見まねで経験をつまれるなか
身をもってコツと申しますようなことを体得されていかれるのではないかと思います
積まれる経験は宝 と私にはみえます


本日はお野菜を美しく仕上げる
下ごしらえ
面取りのお話しをさせていただきました









面取りを致しましても小芋のような硬い食材は下ゆでしておきませんと
お出しが小芋の中までしみ入るころには 小芋の表面は煮崩れしてしまいます
小芋は水から茹で 竹串が通るくらいになりましたらお水に取り置きしておきます

本日の投稿は面取りのお話しでございますので
お味つけにつきましてはやめておきますけれど
調味料のひとつのお酒は料理酒でなく普通のお酒をたっぷり使われるのが良いと思います
お酒は殆どのお野菜の旨みを引きだし お野菜にコクをつけ また甘みも増幅させます

皆様 根菜類のように土の中で育つものは 水から茹で
地上で育つお野菜は お湯から茹でるのがきまりのようです