日本企業のがんばり 脱 希土類 レアアース
正式名 希土類元素 rare earth elements
原子番号 21 39 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 の17元素です
以前から個人的にこの分野は面白いと思っています
希土類の用途は幅広く 車 ハイブリッド車 電子機器 カメラ テレビ 家電 光ファイバー
原子炉 X線や他の医療機器 電池 照明 建材 超電導 光学レンズ 光磁気メモリー 時計 等々
殆どの製品に使われています
このレアアースは早く申せば「土」
ただ他の金属と混ぜますと磁力が強くなることや耐熱性が高まることで知られています
世界の年間生産量は約12万トン ハイテク製品の性能向上には欠かせない材料です
品質高い鉱床が中国に多く 現在世界のレアアースの97%の生産は中国です
東シナ海 尖閣諸島沖での中国漁船衝突問題で中国政府はこのレアアースの日本向け輸出を
実質的に停止してしまいました
中国政府はレアアースの対日輸出禁止の指示の存在はないと申されますけれど
中国一国に依存するリスクを改めて示したといえます
産業界では船長の釈放で事態が好転することを期待しています
商社などは新たな調達先の確保やレアアースに替わる技術の開発等で輸出差し止めの影響は
限定的と冷静に受け止めています
新しい調達先は ベトナム アメリカ オーストラリア 等の鉱床で
カザフスタンにもレアアースの開発を提案しています
皆様 ご覧の写真は大阪堂島浜の堂島アクシスビル内の 株式会社 日立製作所関西支社
この日立のお話です
最近 日本の家電や素材メーカーは電気自動車やハイテク製品 家電等を
レアアースを使用しないで生産する技術を開発しています
例えばモーター等は磁石の力で回ります モーターは製品の一番大切なところ
ここでレアアースが使われます
日立はレアアースの替わりに入手が簡単で安価な*酸化鉄で出来た永久磁石の
「フェライト磁石」使用のモーターを開発致しました
問題も克服致しました
フェライト磁石だけではレアアースを使った場合の50%位の力しか出せないのです
その問題解決に日立はモ―ターの回転部分を改良
レアアース使用製と比べて10%少ない電力で同じ力を出せる性能をすでに確認済みと発表
今後2年位で家電等への実用を目指されます
日立だけではございません
帝人と東北大学は 「窒素と鉄」で強力な磁石を作る技術を既に開発しています
難しいお話ですけど10ナノの粒子を樹脂に混ぜて磁石の加工を容易にする技術のお話です
またダイキンも鉄だけでは磁力が弱いので鉄の部分に入手容易なフェライト磁石をかみ合わせ
高出力可能のモーターを開発済みです
日立 帝人 ダイキン共 鉄等の代替え材料はレアアースに比べ買い付けの産地が分散しており
価格も酸化鉄に切り替えたとしてもレアアース以下の値段になるのではないかと考えています
2012年には世界のレアアースの供給は十分になると日本はみていますけれど
今まで殆ど中国一国からのレアアース輸入を切り替えるには少し時間がかかるかもしれません
それまでは中国レアアースへの依存は仕方がないかとも思います
脱レアアース 日本企業のがんばりのお話です
*酸化鉄
鉄と酸素の化合物
一口で申せば「錆」の成分です
用途は広く お化粧品 金属腐食防止 医療使用の造影剤 セラミック 等に使用されます
